Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





C




「どうしたの?」

「開かないんだ」


 涼介がセキュリティーと扉を交互に触れる。


(もしかして涼介もあんまりセキュリティーの解除をしたことが

ないのかしら?)


 自分たちがいるから見栄をはったのかもしれない。


(ふふふ。案外涼介も意地っ張りなんだわ)


 自分との共通点を見つけみのりは嬉しくなる。


(たしか良い女性の条件は、男性の失敗について責め立ず、

それとなくフォローをするもんだって、何かの本で読んだことが

あるわ)


 なんて声をかけよう。


(最初にカードを上から下へスライドさせて、カメラを見ていたの

よね……)


 みのりは腕を組み、反芻する。暗くなった空が視界に入り、閃いた。


「カードを入れる向きを間違えたんじゃない?」


 玄関口に明かりがあるとはいえ、手元などは自分の陰で暗くなる。

カードの向きを間違えていても不思議ではない。しかし、涼介は

あまり納得していないようだった。


「そうかな? そんなことないと思うけど……」


 首をかしげながらカードを確認し、再度カードをスライドさせる。

だがやはりロックされたままのようだ。涼介が眉間に皺を寄せる。

みのりが押し黙ったまま彼を眺めていると、碧が近づいてきた。


「どうかしましたか?」

「中に入れないんですよ。なんか認証されないみたいで。ちょっと

待っててください」


 碧の登場に涼介はホッとしたのだろうか。強張っていた顔が少し

だけ緩んだ。そして肩を竦めて見せたあと、インターフォンを

押した。










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