Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
F
「何それ、どういうこと?」
一歩踏み出しインターフォンに向き合おうとするみのりを、
碧がとめる。
「そのままの意味でしょう。
それにしてもずいぶんと趣味のいい。僕には真似できません」
皮肉げな笑みを浮かべる碧の言葉を受け聞こえてきたのは、
友孝ではなく女性のものだった。
『すみません。坊ちゃま。雅秋様がこれも試練だとおっしゃられて』
幸恵だ。夫のサポートに来たのだろう。
話のわかる人が来てくれたことに少しだけ感謝しつつ、
凉介は幸恵に訴えかける。
「そんな馬鹿な話あるわけないでしょうが。なんとかしてくださいよ!」
言葉がいつもより堅苦しくなってしまったのは怒りのせいだ。
まったく冗談じゃない。
腸が煮えくり返る。
地団駄踏みたい気分を必死で堪えていると、紅が背後で言い放つ。
「陰険」
その通りだ。
凉介は内心で深く頷く。わかってくれて嬉しい。
加勢してくれたわけではないのだろうが、
今まではっきりと言葉にしてくれた他人はほとんどいなかったから。
(負けないぞ)
気合いを入れ直していると、幸恵がさらに言葉を重ねてきた。
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