Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
IC
「市長、あなたは警戒心が強いようですね。それだけ他者から
色々と恨みを買っていると自覚しておいでなのでしょうか?」
『自覚しているからこそ用心しているのですよ。
特に君のような不審者をね』
「なるほど。実の弟と面と向かってではなく、スピーカー越しで
ないと話せないほど他人から嫌われているのですね。
ご心痛お察ししますよ」
碧と市長の嫌味の応酬が続く。涼介が、碧を援護するかのように
言葉を重ねた。
「入れてくれるまで俺たちはここを動きませんよ。警察を呼んで
くれてもかまいません。でも忘れないでください。
こちらにはみのりさんがいるってことを」
『……わかった。とにかく玄関までお上がりなさい』
少し間が開いたあと、市長から承諾がおりる。その声に、凉介は
再びカードキーを使った。今度はちゃんと認証されたらしい。
カチャッという解錠音が聞こえ、涼介が玄関の引き戸を開ける。
(この中に山波さんがいるのね……)
これからが本番だ。みのりは唾を飲み込む。涼介が全開した扉を、
ゆっくりとした足取りでくぐる。みのりもそのあとに続いた。
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