Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





IC




「市長、あなたは警戒心が強いようですね。それだけ他者から

色々と恨みを買っていると自覚しておいでなのでしょうか?」

『自覚しているからこそ用心しているのですよ。

特に君のような不審者をね』

「なるほど。実の弟と面と向かってではなく、スピーカー越しで

ないと話せないほど他人から嫌われているのですね。

ご心痛お察ししますよ」


 碧と市長の嫌味の応酬が続く。涼介が、碧を援護するかのように

言葉を重ねた。


「入れてくれるまで俺たちはここを動きませんよ。警察を呼んで

くれてもかまいません。でも忘れないでください。

こちらにはみのりさんがいるってことを」

『……わかった。とにかく玄関までお上がりなさい』


 少し間が開いたあと、市長から承諾がおりる。その声に、凉介は

再びカードキーを使った。今度はちゃんと認証されたらしい。

カチャッという解錠音が聞こえ、涼介が玄関の引き戸を開ける。


(この中に山波さんがいるのね……)


 これからが本番だ。みのりは唾を飲み込む。涼介が全開した扉を、

ゆっくりとした足取りでくぐる。みのりもそのあとに続いた。










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