Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
IH
(何? 何をするつもりなの?)
市長の背後に控えていた黒服の男たちが近づいてくる。
みのりは身構えようとした。しかし涼介が、黒服たちが向かって
こないようにと前へ出る。
「どいてください、雅秋兄さん! お前たちも!」
涼介の口調が普段と違うのだろう。黒服たちは戸惑いの色を
隠せていなかった。命令通り動いていいのかと、確認するように
ちらちらと雅秋の顔色を窺っている。それを碧が好機と捉えたの
だろうか。ニヤリと意味深な笑みを市長へ向けた。
「僕の目の前でそんなことをして許されると思っているんですか?」
碧がレコーダーをちらつかせながら進み出る。市長は愉快げに
笑い出した。
「ふふふ。そう来たか。だが、そんな脅しには屈しないよ。
私には私の守るべきものがあるのでね」
「これを君の奥様やお子様に聞かせたらどんな反応をなさるで
しょうね?」
(何、この会話。怖すぎなんだけど……)
これではどちらが悪役なのかわかったものではない。みのりは
彼らの醸し出す空気に身を震わせた。それでも目を逸らすことが
できず、固唾を呑んで彼らの攻防を眺めた。
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