Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





AIC




「おやおや、大きな声ですね。

もしかして山波さんは梅畑市長の子飼いか何かですか?」


 皮肉げなその表情に言い知れぬ怒りが込められているようにも

見受けられる。

大事にならないようにしなければ。

緊張から溜まってしまった唾を飲み込んでいると、横でみのりが尋ねてきた。


「そうなの?」


 答えようと口を開く。

だが、声が音になる前に、雅秋に返事を奪われてしまう。


「まさか。ただお困りのようだったので保護させてもらっただけですよ。

彼も困っているようです。

お引き取り願えませんかね、みのり様」


 慇懃無礼な言い方に腸が煮えくり返る。

一言文句を言ってやりたかったが、

みのりは長兄の話自体をなかったことにしたらしい。

完全に無視を決め込んでいると代わりに碧が尋ねた。


「それにしては随分とタイミングがよいようでしたが」

「そうよ。山波さんが逃げ出すってわかってたみたいなタイミングだったわ」


 みのりが腕を組んで雅秋を睨みつける。


「敵?」


 紅がみのりへ問いかけた言葉がよほど気にくわなかったのだろう。

山波が地団駄を踏んだ。










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