Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





AID




「敵とはなんだ、敵とは! 目的が違うだけだ!」


 山波の発言は確かに最もなことで、

ここを長兄につけ込まれたのだろうと思うだけで口惜しい。

涼介はぐっと拳を握り締める。


(絶対に山波さんはみんなのところへ連れて帰る!)


 内心で決意しているのをよそに、

雅秋が涼しい顔でとんでもないことを暴露した。


「愚弟に発信器を忍ばせておいたのでね。

今も気づいていないようだが財布に入っているぞ、涼介」

「財布?! 財布だったのか! どこ探しても見つからないと思ってたけど」


 まさかそんなところに入っていたとは。慌てて財布を確認する。

小銭にもお札にも細工された様子はない。

注意深く黒い皮財布の縫い目をなぞっていると、

少しだけ不自然に硬い箇所を見つけた。


(これか!)


 だが、ナイフなどがないここでは、すぐに確かめることもできない。

こんな時のために、ナイフの一つでも持っているべきだった。

悔しさに唇を噛み締めていると、またしても紅が悪態を吐いてくれた。










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