Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
AID
「敵とはなんだ、敵とは! 目的が違うだけだ!」
山波の発言は確かに最もなことで、
ここを長兄につけ込まれたのだろうと思うだけで口惜しい。
涼介はぐっと拳を握り締める。
(絶対に山波さんはみんなのところへ連れて帰る!)
内心で決意しているのをよそに、
雅秋が涼しい顔でとんでもないことを暴露した。
「愚弟に発信器を忍ばせておいたのでね。
今も気づいていないようだが財布に入っているぞ、涼介」
「財布?! 財布だったのか! どこ探しても見つからないと思ってたけど」
まさかそんなところに入っていたとは。慌てて財布を確認する。
小銭にもお札にも細工された様子はない。
注意深く黒い皮財布の縫い目をなぞっていると、
少しだけ不自然に硬い箇所を見つけた。
(これか!)
だが、ナイフなどがないここでは、すぐに確かめることもできない。
こんな時のために、ナイフの一つでも持っているべきだった。
悔しさに唇を噛み締めていると、またしても紅が悪態を吐いてくれた。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|