Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
BI
「だから、もう話すことなんかないって言ってるだろうが!」
「お義父さん……」
振り返った山波の言葉ははっきとした怒気をはらんでいて、
飛田が悄然と肩を落とす。
説得は無駄だと諦めてしまったのだろうか。
だが、みのりは諦めていなかったようだ。
黒服をかき分け山波へ届けとばかりに声を張る。
「山波さんにはなくても、私たちにはあるんです!」
すると、すかさず雅秋がみのりの揚げ足を取ってきた。
「あなたにあっても山波さんにはないんですよ。ですからどうぞ、
お引き取りください」
「みのりさんの邪魔はさせませんよ、雅秋兄」
もし台無しにしたら、今度こそ容赦はしない。
決意を込めて声を低めるその横で、みのりが叫ぶ。
「山波さんお願いします!」
「だから、今更何をですか!」
みのりの言葉に山波が激昂するのを聞きながら、
雅秋が冷めた目でこちらを見下ろしてきた。
「いっぱしにナイト気取りか。まあ、かまわんが。お前のお姫様は
話しあぐねているようだぞ?」
そこまでみのりを馬鹿にするのか。
我が兄ながら、少女一人に情けない。
涼介は痛みも構わず拳を握り締め、腹の底から声を出した。
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