Gold Plum

第六章


対峙


〜みのり＆涼介の場合〜


三


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「頭を下げられても困りますな。俺には俺の心情ってもんがある。

ただそれだけだ」

　ふん、と鼻を鳴らす山波へみのりが必死に訴えかける。


「わかっています。

でも、山波さんなら私たちの気持ちを理解してくれるって思ったんです！」


　みのりの言葉は真実のようだった。

最初はただお見合いが嫌で家出をしたのかもしれない。

だが、今の彼女は違う。

もっと大きな存在と闘おうとしている。


（山波さん。お願いします。みのりさんの気持ちを汲んでください）


　心から願う。そしてできれば、山波の心も救われて欲しい。

太一の祖母と似た葛藤を持つ人であり、太一が慕う大人の一人なのだから。


（一人で孤独に闘わないでください）


　苦しげに眉を潜める山波の姿が、太一の祖母と重なる。


（どうにかして、彼の気持ちをほぐす術はないんだろうか……）


　唇を噛み締めているその頭上から、冷めた声が振ってきた。


「は？　俺が？　黄金梅の実を守る会の俺がですか？」


　山波の声は予想以上に硬い。

涼介はなんとかみのりに加勢できないかと口を開きかける。

だが、それより先に、みのりが澄んだ瞳で山波を見上げた。