Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
BIB
「はい。だって山波さんはいつだって、口では獣人のことを
認めていない風に言っていましたけど、
本当は獣人と人間の堺がなくても普通に接することができる人だって。
そう思っていました」
「は! 冗談じゃない!」
みのりの言葉を山波が嘲笑う。
「それはあくまで境があっての話だ。
なくなったらコントロールできなくなっちまうだろうが」
善郎の言葉は黄梅の人間であり、黄金梅を守る側の人間ならば
ごく普通の感情だった。
(やっぱり、ここまで根深いのか……)
現当主が美都子になって以来、
それまでそこそこ交流のあった獣人がどんどんと山側へ追いやられていった。
おそらく現当主にとって獣人はコントロールしてこそ
価値のある存在なのだろう。
(抹殺しろ、って言わないだけましなのかもしれないけどさ)
雅秋もどちらかと言えば美都子側の人間だということは知っていた。
だが、それにしては、少しやることがおかしい。
(そもそも、なんで俺に種なんか渡したんだ?)
種を渡さなければ、山波が望む通り現当主の下獣人を人間の配下に置き、
コントロールすることが容易だったはずだ。
(そうだ。そのほうがみのりさんを、ひいては梅八家のことを
もっと上手く自分のものにできたんじゃないのか?)
涼介は何を考えているのか少しも見えてこない長兄の顔を睨み据えた。
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