Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





BIC




 山波の侮蔑を含んだようないいざまに、碧はこたえた様子もなく

飄々と反論する。


「そうですか?

飛田さんともなかなか良いコンビのように見えましたよ」


 そうですよね、と賛同を得ようと振り返る側近に、みのりは同意

する。しかしそれを口に出す前に飛田が山波へ話しかけていた。


「それは、僕らが暴走する可能性があるってことですか?」

「平たく言うとそういうことだ! もういいだろう!

俺はあんたらとは違うんだ! 帰ってくれ!」


 飛田の顔が悲しげに歪む。山波は彼を一瞥したが、話は終わりだ、

と言わんばかりに腕を振り払った。


「そんなことありません!」


 みのりは再び踵を返そうとする山波を引き止めようと、叫ぶ。


(山波さんだって、心のどこかでは自分の変化に気づいてるんだわ)


 だけどそのことを認めてしまえば、今とは違う未来になってしまう。

変化を求めていない彼にとってそれは許せないことなのだろう。

だから聞く耳を持たないという姿勢を貫いているのかもしれない。


(でも足を止めてくれたってことは、無自覚でも変化を望んでいる

のかもしれないわよね)


 さっきは何を言っても山波の頑なな気持ちを変えることはでき

ないと思い、愕然とした。だが、黙ったまま佇んでいるのが何よりの

証拠だ。みのりはそう確信することで、自身を奮い立たせることにした。










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