Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
BID
(問題はどうやって山波さん自覚してもらうかってことよね……
飛田さんの一言がキッカケになってくれればと思ったのだけど)
辛辣な山波からの言葉にまだ立ち直っていないようだ。
彼を頼ることはできない。みのりは、下を向く飛田を視界の端に捉え
ながら思考を巡らせる。しかし、山波を引き止めるための言葉を探す
時間を、市長が与えてくれるはずもなかった。微妙な距離を保ったまま
立ち尽くしている黒服たちへ再度命令を下す。
「お前たち、みのり様たちを丁重にお見送りしなさい」
「かしこまりました」
奥から今までいなかった人物の声が聞こえてくる。その声に反応する
かのうように、さっきまでためらいを見せていた黒服たちが近づいて
きた。声のする方へ視線を移すと、そこには恭しく市長の隣で頭を
下げる家庭教師の姿があった。
「文兎先生!」
「ようやく誘拐犯のお出ましですか」
碧の小馬鹿にするような言葉に、文兎の片眉がピクリとあがる。
しかし、彼の目線は側近ではなくこちらへと向けられているようだった。
「あなたは自分のことを第一に考えすぎなんですよ。
もっと相手の立場に立つことです。みのり様」
見下すように言われた言葉に、みのりは押し黙る。悔しさに唇を
噛むと、涼介が鋭い口調で文兎を責め立てた。
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