Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





BID




(問題はどうやって山波さん自覚してもらうかってことよね……

飛田さんの一言がキッカケになってくれればと思ったのだけど)


 辛辣な山波からの言葉にまだ立ち直っていないようだ。

彼を頼ることはできない。みのりは、下を向く飛田を視界の端に捉え

ながら思考を巡らせる。しかし、山波を引き止めるための言葉を探す

時間を、市長が与えてくれるはずもなかった。微妙な距離を保ったまま

立ち尽くしている黒服たちへ再度命令を下す。


「お前たち、みのり様たちを丁重にお見送りしなさい」

「かしこまりました」


 奥から今までいなかった人物の声が聞こえてくる。その声に反応する

かのうように、さっきまでためらいを見せていた黒服たちが近づいて

きた。声のする方へ視線を移すと、そこには恭しく市長の隣で頭を

下げる家庭教師の姿があった。


「文兎先生!」

「ようやく誘拐犯のお出ましですか」


 碧の小馬鹿にするような言葉に、文兎の片眉がピクリとあがる。

しかし、彼の目線は側近ではなくこちらへと向けられているようだった。


「あなたは自分のことを第一に考えすぎなんですよ。

もっと相手の立場に立つことです。みのり様」


 見下すように言われた言葉に、みのりは押し黙る。悔しさに唇を

噛むと、涼介が鋭い口調で文兎を責め立てた。










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