Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
CID
「確かに悪くないと思うけど……」
市長が応えないことを知っていたかのようなタイミングで、
次男、雅仲が相槌を打つ。そして、ちらりと様子を窺うように市長へ
視線を向けた。
「市長殿、返答をしてはくれないのですか?」
碧が意地の悪い笑みを浮かべ市長を見る。しかし側近の挑発は
不発に終わったみたいだ。市長は眉間に皺を寄せ、目を伏せたまま
口を閉じている。それを好機と捉えたのか、涼介が畳みかけるように
語りかけた。
「もちろん、今すぐってわけじゃありません。
今は山波さんも気が立ってるでしょうし。
明日、明日話し合わせてくれませんか。俺たち出直してきますから」
涼介が再度頭を深々と下げる。
静まりかえる中、重々しいため息が聞こえてきた。
「……勝手にしろ」
「ありがとうございます!」
涼介が嬉しげに声を弾ませ、顔をあげる。
(すごいわ! 市長から了承をもらえるなんて!)
自分の事のように喜びながら、みのりは彼の背中をポンと
軽く叩いた。
「やったわね、涼介」
「ああ!」
涼介が満面の笑みを向けてくる。
キラキラと輝く彼の瞳を見て、みのりは自然と頬を緩めた。
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