Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





CIE




 この結論がよほど不本意だったのか。

雅秋の顔が一瞬悔しげに歪む。

珍しいものを見た気で目を瞬かせていると、

だが、と雅秋が両目を見据えてきた。


「この家は駄目だ。敷居をまたがせるわけにはいかない」


 まあ、それはそうだろう。

これだけ中へ入ることを拒むのだから。

確か果部駅にホテルがあったはずだが。

今から行って泊まる部屋があるのだろうか。

考え込んでいると、雅仲が声をあげた。


「なら、俺の家に来たらどうかな? 隣だし」


 雅仲の提案に碧が尋ねる。


「おや、よろしいのですか?」


 以外な提案だったのだろう。

だが、次兄は長兄に較べお人好しなところがある。


(まあ、明日のこと考えるとそのほうがいいか)


 問題はみのりたちがなんと言うかだが。

展開を見守っていると、雅仲が碧へ向かい笑みを浮かべる。

「ええ。美紀義姉さんのところには雅秋兄さんがいるから無理だろうし。


狭いところですがどうぞおいでください」


 ふと、雅仲が碧に対して敬意を払っていることに気づいた。

雅秋は毛虫の如く嫌っているらしいが、次兄は違うようだ。

自分にとっては碧は恩人であり憧れでもあるが、

次兄にとってはどうなのだろう。

涼介は自分の知らない彼らの関係に、初めて興味を抱いた。










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