Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
CIE
この結論がよほど不本意だったのか。
雅秋の顔が一瞬悔しげに歪む。
珍しいものを見た気で目を瞬かせていると、
だが、と雅秋が両目を見据えてきた。
「この家は駄目だ。敷居をまたがせるわけにはいかない」
まあ、それはそうだろう。
これだけ中へ入ることを拒むのだから。
確か果部駅にホテルがあったはずだが。
今から行って泊まる部屋があるのだろうか。
考え込んでいると、雅仲が声をあげた。
「なら、俺の家に来たらどうかな? 隣だし」
雅仲の提案に碧が尋ねる。
「おや、よろしいのですか?」
以外な提案だったのだろう。
だが、次兄は長兄に較べお人好しなところがある。
(まあ、明日のこと考えるとそのほうがいいか)
問題はみのりたちがなんと言うかだが。
展開を見守っていると、雅仲が碧へ向かい笑みを浮かべる。
「ええ。美紀義姉さんのところには雅秋兄さんがいるから無理だろうし。
狭いところですがどうぞおいでください」
ふと、雅仲が碧に対して敬意を払っていることに気づいた。
雅秋は毛虫の如く嫌っているらしいが、次兄は違うようだ。
自分にとっては碧は恩人であり憧れでもあるが、
次兄にとってはどうなのだろう。
涼介は自分の知らない彼らの関係に、初めて興味を抱いた。
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