Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
CIH
「お礼を言うのはまだ早いわよ。うちの旦那様は手強いんだから」
お辞儀をしたのが大げさだと言いたいのだろう。
ちょっと呆れた顔で忠告してくる義姉に向かい苦笑っていると、
雅仲に肩を叩かれた。
「大変だろうけど。がんばれ、涼介」
雅仲の嫌味のないエールに涼介は頬を掻く。
身内からまっすぐな声援を受けると、こんなにも気恥ずかしいものなのか。
決まりが悪くて視線を逸らしていると、目の端にみのりも
頭をさげるのが見えた。
「ありがとうございます。あのお言葉に甘えさせていただきます」
「ふん……」
みのりの言葉に、雅秋が鼻を鳴らす。
長兄の態度を合図ととったのか、
自分たちを取り囲んでいた文兎と黒服たちが道を空けた。
(いつの間にこんな人間たちと関係を持っていたんだろう……)
雅秋の心が見えてこない。
昔から何を考えているのかわからないところのある人ではあったが、
ここにきてますます理解しがたい人になった。
(でもまあ、とにかく勝負は明日だ)
必ず山波を説得しなければ。
もうこれ以上雅秋に邪魔立てはさせない。
涼介は内心で今一度決意した。
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