Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
DI
雅仲の家は、梅畑家の母屋から出てすぐそばにあった。
暗くなっていたため全貌はわからなかったが、和風だった母屋とは
違い洋風な外観に見える。
跡取りではなく次男の家だからなのだろうか。
随分とこじんまりとした佇まいだ。
(小さな家ね。こんな小さくて全員泊まれるのかしら?)
みのりは不安になり、涼介に確認しようと視線を向ける。
しかし彼は雅仲の先導ですでに中へ入ってしまっていた。
他の面々も次々に上がり込んでいる。みのりは置いて行かれないよう、
靴を脱ぎみんなの後へ続いた。
(これ、廊下って言うのかしら?)
上がり框(かまち)と続きになっている場所へ足を下ろし、
みのりは首をかしげる。廊下と呼ぶには随分と短い場所を進むと
すぐに階段があった。次々に吸い込まれるように上って行くその場所を
見上げる。人一人分しか進むことのできない狭さにみのりは目を瞠った。
(みんなが何も言わないってことはこれが普通なのよね?)
先ほどいた母屋もそれなりの広さはあったように思う。
だが、広大な土地とそれに見合うだけの邸を構えている実家に比べれば、
あの家は小さな部類だ。
(あ、でも駅の近くにあったホテルの一室もとても小さかったものね)
家出当日に宿泊した施設を脳裏に浮かべ、一人で納得する。
みのりは、壁に手を添えながら階段へ足を踏み入れた。
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