Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





DIA




「ありがとうございます」


 お茶を置かれ、飛田が頭を下げる。その隣で涼介が雅仲へ声を

かけた。


「義姉さんは?」

「眠ってるよ」

「もう夜遅いもんね」


 肩を竦める涼介に、みのりは時計を探した。壁にかかった

アナログ時計の針は21時をとっくに通過している。サーッと血の

気が引いていくのがわかった。みのりは、どうぞと茶を置く雅仲へ

謝罪する。


「突然、お邪魔してしまって申し訳ありません。

間に入っていただいて助かりました。ありがとうございます」

「そんな。もったいないお言葉です。

もっとお力になれたらいいんですが。俺にはあれが限界で」


 恐縮するように襟足をなでながら顔を揺らす雅仲の姿は、涼介に

よく似ていた。


(やっぱり兄弟なのね。動作が同じだわ)


 みのりは反省していたこともすっかり忘れ、梅畑の次男を

感心しながら眺める。すると、碧が話に入ってきた。


「梅畑の家はご長男の天下だと思っていましたが、

そうでもないようですね」


 皮肉っぽい碧の言葉は雅仲には通用しないらしい。

さわやかな笑みを浮かべ返答する。それはいたずらを企んだ少年の

ような顔だった。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む