Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
DIA
「ありがとうございます」
お茶を置かれ、飛田が頭を下げる。その隣で涼介が雅仲へ声を
かけた。
「義姉さんは?」
「眠ってるよ」
「もう夜遅いもんね」
肩を竦める涼介に、みのりは時計を探した。壁にかかった
アナログ時計の針は21時をとっくに通過している。サーッと血の
気が引いていくのがわかった。みのりは、どうぞと茶を置く雅仲へ
謝罪する。
「突然、お邪魔してしまって申し訳ありません。
間に入っていただいて助かりました。ありがとうございます」
「そんな。もったいないお言葉です。
もっとお力になれたらいいんですが。俺にはあれが限界で」
恐縮するように襟足をなでながら顔を揺らす雅仲の姿は、涼介に
よく似ていた。
(やっぱり兄弟なのね。動作が同じだわ)
みのりは反省していたこともすっかり忘れ、梅畑の次男を
感心しながら眺める。すると、碧が話に入ってきた。
「梅畑の家はご長男の天下だと思っていましたが、
そうでもないようですね」
皮肉っぽい碧の言葉は雅仲には通用しないらしい。
さわやかな笑みを浮かべ返答する。それはいたずらを企んだ少年の
ような顔だった。
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