Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
DID
「は、はあ……?」
雅仲が曖昧な返事をしていると、みのりが話の筋を変えた。
「それにしても本当によかったわ。
市長の奥さまの計らいで明日会えるようになって」
涼介はみのりの言葉に頷く。
「本当だよ。にしても、前から何か企んでるとは思ってたけど、
あんな馬鹿なこと考えてたなんてなあ……」
「梅畑家が八家の頂点に立つか……本当すごいことを考えているわよね」
カップの取手へ指を絡ませたまま呟くみのりに涼介は同意する。
「まったくだよ。本当に意味がわからない」
何か考えがあるのかもしれないが、自分には想像もつかない。
かと言って、訊いて素直に話してくれる人間でもないのだが。
「顕示欲?」
紅の発言に涼介は首肯する。
「それしか考えようがなさそうだね」
だが、みのりはこちらの意見に首をかしげた。
「うーん。そういうのとはちょっと違うような気もしたのよね」
「違うってどんなふうに?」
悪い意味ではないように聞こえ、涼介は眉間に皺を寄せる。
自分が一番になりたいというのが顕示欲でないのだとしたら、
他に何が考えられるのだろう。
考えつつ、涼介はみのりの言葉を待った。
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