Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





DID




「は、はあ……?」


 雅仲が曖昧な返事をしていると、みのりが話の筋を変えた。


「それにしても本当によかったわ。

市長の奥さまの計らいで明日会えるようになって」


 涼介はみのりの言葉に頷く。


「本当だよ。にしても、前から何か企んでるとは思ってたけど、

あんな馬鹿なこと考えてたなんてなあ……」


「梅畑家が八家の頂点に立つか……本当すごいことを考えているわよね」


 カップの取手へ指を絡ませたまま呟くみのりに涼介は同意する。


「まったくだよ。本当に意味がわからない」


 何か考えがあるのかもしれないが、自分には想像もつかない。

かと言って、訊いて素直に話してくれる人間でもないのだが。


「顕示欲?」


 紅の発言に涼介は首肯する。


「それしか考えようがなさそうだね」


 だが、みのりはこちらの意見に首をかしげた。


「うーん。そういうのとはちょっと違うような気もしたのよね」

「違うってどんなふうに?」


 悪い意味ではないように聞こえ、涼介は眉間に皺を寄せる。

自分が一番になりたいというのが顕示欲でないのだとしたら、

他に何が考えられるのだろう。

考えつつ、涼介はみのりの言葉を待った。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む