Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
EI
「つまり涼介君だけが『黄金梅の種』を持って生まれてきたという
わけですか? たしか先々代当主は、都実恵様と親しくなさって
おいででしたね」
念押しするような碧の問いかけに雅仲が首肯する。
「そうです。初代様の頃には一度梅の種を持って生まれた赤子が
梅八家でもでたそうですが。今は全然」
(初代様ってことは雪姫様ってことよね?)
彼女の資料なら実家にいくつもある。それらは伝承から史実まで
多種多様に存在しており、そのすべてが書庫に納められているはずだ。
次期当主としての勉強のためその中のほんの一部を読んだことは
ある。しかし、雅仲の言う『黄金梅の種』を握って生まれてきた
人間について書かれた資料を目にしたことはなかった。
(全部を読んだわけじゃないから私が知らないだけで、お母様は
知っているかもしれないけど……)
それにしたって不可思議な話だ。だが獣人が存在する黄梅事態が、
そもそも他と違うのだから当然なのかもしれない。それでも雅仲から
出された降って湧いたような話に、心がざわざわする。
(あー、もう!
こういうときはお茶を飲んで落ち着かないとダメよね)
みのりは残り少なくなった茶を口に含んだ。そこへ黙考していた
碧が再び雅仲へ疑問をぶつけた。
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