Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





EI




「つまり涼介君だけが『黄金梅の種』を持って生まれてきたという

わけですか? たしか先々代当主は、都実恵様と親しくなさって

おいででしたね」


 念押しするような碧の問いかけに雅仲が首肯する。


「そうです。初代様の頃には一度梅の種を持って生まれた赤子が

梅八家でもでたそうですが。今は全然」

(初代様ってことは雪姫様ってことよね?)


 彼女の資料なら実家にいくつもある。それらは伝承から史実まで

多種多様に存在しており、そのすべてが書庫に納められているはずだ。

 次期当主としての勉強のためその中のほんの一部を読んだことは

ある。しかし、雅仲の言う『黄金梅の種』を握って生まれてきた

人間について書かれた資料を目にしたことはなかった。


(全部を読んだわけじゃないから私が知らないだけで、お母様は

知っているかもしれないけど……)


 それにしたって不可思議な話だ。だが獣人が存在する黄梅事態が、

そもそも他と違うのだから当然なのかもしれない。それでも雅仲から

出された降って湧いたような話に、心がざわざわする。


(あー、もう!

こういうときはお茶を飲んで落ち着かないとダメよね)


 みのりは残り少なくなった茶を口に含んだ。そこへ黙考していた

碧が再び雅仲へ疑問をぶつけた。










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