Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





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「そうですか。もしかして涼介君が植えた黄金梅の種は、涼介君が

生まれたときに持っていた種なんですか?」


「そうです。あの兄があれを使わせるとは思っていなかったので

少し意外でしたが」


 雅仲が頷いたあとで肩を竦めて見せた。


(そっか。涼介が黄金梅の種を植えられたのは元々持っていたから

だったのね……)


 碧が雅仲へ尋ねなければ気にもとめなかったに違いない。

さすが碧だ。みのりは感心しながら側近の方へ顔を向ける。

碧が雅仲を睨みつけるように目を細めていた。


「つまり梅畑市長殿は、お嬢様と涼介君のお見合いを始めから成立

させるつもりがなかったというわけですね」


 一瞬にして重くなった空気にみのりはごくりと唾を飲み込んだ。

しかしそんな雰囲気に気づいていないのか、雅仲が笑みを浮かべ

ながら首を振る。


「いいえ。むしろ結婚してほしいと思っていると思いますよ。

心から」


 のほほんと応える梅畑次男の声に、碧の眼光がさらに鋭くなった。


「それはおかしいですね。仮に涼介君が梅宮の婿になったとして

梅畑家はどうするのですか? 他の人間に継がせるのですか?」

「だからこそ、自分が梅畑を継いだのですよ。梅宮の婿になり

梅畑の血が入った子が生まれ、みのり様と涼介をコントロールする。

それが兄の考えです」

(な、何それ……どういう意味?)


 まさか涼介もそれを承知で見合いをするつもりだったのだろうか。

対面に座る涼介の顔が霞み始める。正気を失わないように唇を噛み

しめこらえていると、紅が剣のある言い方で涼介に食ってかかる。


「詐欺師」


 みのりは紅のあまりに低い声音にハッと息を呑んだ。










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