Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





EIA




「俺は知らないって!」


 何故この娘(こ)に詐欺師呼ばわりされなければならないのか。


(理不尽だ)


 それもこれも長兄のせいだ、とむかっ腹を立てていると、

雅仲が首を左右に振った。


「涼介は何も知りません。ただ『お前にはやるべきことがある』と

日頃から皆に言われて育ったと思います。そうだよな?」

「え? そうだけど……」


 雅仲がそんなことまで知っていたなんて。意外すぎて気が削がれる。

怒りを忘れて目をしばたたいていると、碧が皮肉げに片頬をあげた。

「本人には黙ったまま陰から操る。梅畑市長がやりそうなことですね」


 ちくりと痛いところを刺してくる碧に対し、雅仲がすまなさげに

眉根を寄せた。


「兄の涼介に対する愛情は屈折しているんです。それも祖父に

『お前は涼介の影となりしかるべき時まであの子を守れ』と

言われていたからだと思います」


 雅仲の言葉に涼介は目を剥く。


「雅秋兄、祖父さんにそんなこと言われてたのか?!」


 テーブルを叩き雅仲へ問う。

あまりの驚きに声が裏返ってしまったが、対する雅仲は冷静だった。










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