Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
EIA
「俺は知らないって!」
何故この娘(こ)に詐欺師呼ばわりされなければならないのか。
(理不尽だ)
それもこれも長兄のせいだ、とむかっ腹を立てていると、
雅仲が首を左右に振った。
「涼介は何も知りません。ただ『お前にはやるべきことがある』と
日頃から皆に言われて育ったと思います。そうだよな?」
「え? そうだけど……」
雅仲がそんなことまで知っていたなんて。意外すぎて気が削がれる。
怒りを忘れて目をしばたたいていると、碧が皮肉げに片頬をあげた。
「本人には黙ったまま陰から操る。梅畑市長がやりそうなことですね」
ちくりと痛いところを刺してくる碧に対し、雅仲がすまなさげに
眉根を寄せた。
「兄の涼介に対する愛情は屈折しているんです。それも祖父に
『お前は涼介の影となりしかるべき時まであの子を守れ』と
言われていたからだと思います」
雅仲の言葉に涼介は目を剥く。
「雅秋兄、祖父さんにそんなこと言われてたのか?!」
テーブルを叩き雅仲へ問う。
あまりの驚きに声が裏返ってしまったが、対する雅仲は冷静だった。
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