Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





FI




「わからないけど、自分の言葉で誠心誠意話すしかないよ」

「でもさっき玄関先で話したとき、あんまり通じてなかった

みたいだから……」


 これ以上何を言えばいいのか正直わからない。

みのりは肩を落とし愚痴る。


「僕も及ばずながら加勢させていただきますよ。

だから頑張りましょう」


 飛田の励ましに愛想笑いを送ると、紅が拳を作って彼を見た。


「鹿さん、ファイト」

「あ、ありが」

「紅、飛田さんに応援だなんて失礼だよ。

なんと言っても飛田さんは株式会社オジカの営業さんなんだからね!

売り込みや交渉ごとはお手のものだよ」


 はにかみながら紅へ感謝の意を伝えようとした飛田の声は、

碧によってかき消された。いつもより少し早口の側近は語り終えるや

否や、爽やかな笑みを鹿の青年へ向ける。


「そうですよね、飛田さん」

「あ、あはははは……」


 少し引きつったような笑みにも見えるが気のせいだろう。

みのりを期待に胸を膨らませ、飛田を見た。


「そうよね! 営業マンの飛田さんがいるなら鬼に金棒よね。

頼りにしています飛田さん!」


 やはり飛田さんに来てもらって正解だった。母屋のときは飛田も

突然のことすぎて、本領を発揮できなかったのだろう。

明日になれば営業マンの底力で、颯爽と山波を説き伏せてくれるに

違いない。


「そ、そんなぁ……」

「……碧さん……」


 向かい側から飛田と涼介が同時に何か囁いたようだ。

だが、山波と和解する姿を想像していたためよく聞き取れなかった。










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