Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
FIA
「鹿さん、ガンバ!」
小さなガッツポーズを送る紅が珍しく目を見開いている横で、
飛田が邪気のない笑みを浮かべる。
「ありがとう」
微笑み合う飛田と紅に頷き、雅仲が声をあげた。
「とりあえず、山波さん。こちらへお座りください」
山波を中央の椅子へ促すと、山波が渋々腰をかける。
「山波さん、おはようございます。
飛田さんから何やらお話があるようですよ。ねえ、飛田さん?」
何故そこで飛田なのだろう。
(話があるのは俺たちじゃなかったっけ?)
話の展開についていけず目をまたたく。
それは飛田も同じだったらしく、飛田は素っ頓狂な声をあげた。
「え?! 僕ですか?! な、なんで?!」
完全にパニックしている。
また興奮してしまっているのではないだろうか。
ちらりと横目で確認すると、やはり頭に角が見えてきていた。
(これはまずいなあ……)
背中をさすったら少しは落ち着いてくれるだろうか。
手を伸ばしかけた時、山波の嘆息が聞こえてきた。
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