Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
FIG
「……」
黙り混んでしまった山波の顔色を窺うように、涼介が挙手する。
「あの、雪姫様の願いって?」
(そういえば次男さんも同じようなこと言っていたわね。
涼介のおじい様が雪姫様の本来の願いを成就するとかなんとか……)
みのりは昨夜雅仲から聞いた話を思い出し、眉間に皺を寄せた。
次期当主の勉強をしていたときも『雪姫の願い』などという単語は
出てきていないはずだ。
みのりは、涼介へ首を横に振って見せた。
「わからないわ。
でもお母様は梅宮の繁栄こそを一番に考えていらっしゃるから
雪姫様の願いも、それに似てるんじゃないかしら?」
「なるほど……。梅宮の繁栄……」
涼介が顎へ手をやり、考え込む。自分の中で考えがまとまった
のか、飛田へ顔を向けた。
「そういうことなら山波さんはもう理解しているのでは?」
「いいえ。違います。そのまったく逆ですよ。
雪姫様は獣人との共存こそを望んでいらしたんです」
「え? そうだったの……」
沈痛な面持ちで語られた飛田の言葉にみのりは目を見開く。
予想もしていなかった。これが事実ならば、梅宮は何をやって
きたのだろうか。
(お母様は知っているのかしら……)
黄梅と黄金梅を守ることだけに力を注いでいる母親の顔が脳裏に
浮かんだ。
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