Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





FIG




「……」


 黙り混んでしまった山波の顔色を窺うように、涼介が挙手する。


「あの、雪姫様の願いって?」

(そういえば次男さんも同じようなこと言っていたわね。

涼介のおじい様が雪姫様の本来の願いを成就するとかなんとか……)


 みのりは昨夜雅仲から聞いた話を思い出し、眉間に皺を寄せた。

次期当主の勉強をしていたときも『雪姫の願い』などという単語は

出てきていないはずだ。

 みのりは、涼介へ首を横に振って見せた。


「わからないわ。

でもお母様は梅宮の繁栄こそを一番に考えていらっしゃるから

雪姫様の願いも、それに似てるんじゃないかしら?」

「なるほど……。梅宮の繁栄……」


 涼介が顎へ手をやり、考え込む。自分の中で考えがまとまった

のか、飛田へ顔を向けた。


「そういうことなら山波さんはもう理解しているのでは?」


「いいえ。違います。そのまったく逆ですよ。

雪姫様は獣人との共存こそを望んでいらしたんです」

「え? そうだったの……」


 沈痛な面持ちで語られた飛田の言葉にみのりは目を見開く。

予想もしていなかった。これが事実ならば、梅宮は何をやって

きたのだろうか。


(お母様は知っているのかしら……)


 黄梅と黄金梅を守ることだけに力を注いでいる母親の顔が脳裏に

浮かんだ。










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