Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





II@




「なんで碧に言っちゃったのよ! 秘密にしてって言ったじゃない!」


 心積もりをしてから碧にそれとなく聞くつもりだったのに。


(涼介のバカ)


 だが、まだ大丈夫だ。彼の口から真実は告げられていない。

腹を据えたあとで涼介から聞けばいい。聞く相手が側近から青年へ

変わっただけだ。みのりは自身にそう言い聞かせた。


(うん。そうよ。まだ大丈夫だわ)


 思考を巡らせ、動転した気分を落ち着かせる。ふいに鋭い視線を

感じ振り返ると、紅がこちらを睨みつけていた。みのりは咄嗟に

涼介との距離を少し開ける。だが、彼はそんな紅に気づいていない

ようだった。開いた隙間を埋めるように、近づいてくる。


「そうなんだけど、こう、碧さんは俺より2枚は上手だった

もんだから隠しようがなくって。本当にごめん」

「うぅ、ま、まあ碧だものね」


 傍から見たら、仲良く話しているようにしか見えないのかも

しれない。みのりはちらちらと紅の方へ目線を向けながら、

相槌を打った。

 男性は女性の機微に疎いと聞くがそれは涼介にも当てはまって

いるようだ。周りの空気を気にすることなく話し続けている。










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