Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





GIE




 山波がみのりを見つめる。

また突っぱねられるのだろうか。


(どうかみのりさんの思いを汲んでくれ!)


 念じていると、深い溜め息が聞こえてきた。


「確かに、あなたの言う通りなのかもしれません……。

だが、まだ、納得できていない自分もいるんです。

もう少し、考える時間をもらえやしませんかね?」


 疲れたような声音で尋ねてくる山波に、涼介が目を見開いた。


「山波さん!」

「お義父さん!」


 飛田と同時に叫ぶと、みのりが歓喜の笑みを浮かべた。


「山波さん。ありがとうございます! ……ですが、

そんなにお時間をさくことはできません。

せかしてしまい申し訳ありませんが、早めに意志を固めてください」


 少しだけでも譲歩してくれたことを喜びつつも、

時間がない現実をみのりが指摘する。

山波が理解してくれたことに喜ぶあまり、

肝心なことを失念していた自分が恥ずかしい。

こっそり頬を掻いていると、山波が小さく頷いた。


「わかりました。……ありがとうございます」


 一礼して、山波が席を立つ。


「今夜もう一度携帯に

連絡させていただきます。それまでに結論を出してください」


 みのりの言葉に山波が深く首肯する。


「はい。必ず」


 座席をテーブルに戻し出口の階段へ向かう山波を見て、

飛田が慌てて立ち上がった。










一つ前を読む   GPの部屋に戻る   次を読む