Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
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「あ、い、家までお送ります!」
飛田が山波の後ろ姿へ呼びかけると、立ち止まった山波が振り向いた。
「ああ、頼む」
飛田の申し出に文句もつけない。
こんなに素直な山波を見るのは初めてのことで、涼介は瞳を瞬いた。
飛田を連れだってリビングの階段を降りていく山波を見つめていると、
ふいに雅仲が口を開いた。
「さて、お茶、冷めちゃったみたいだから入れ直そうか?」
気分を変えよう、という意味なのだろう。
確かにまだ山波がこちら側についてくれるという確証もないのだ。
次兄がみのりの内心を気遣ったのだろうと思い至り、涼介は礼を言った。
「ああ。ありがとう、雅仲兄」
表向きはお茶に対してだが、雅仲は受け取ってくれたらしい。
快活な笑みを見せキッチンへ向かう雅仲を見送っていると、
みのりが吐息が聞こえてきた。
「山波さんの意思がこれで変わってくれるといいけど」
斜めの席でみのりが不安げにまつげを揺らす。
「大丈夫だよ。みのりさんがあれだけ頑張ったんだから」
だから笑ってほしい。そんなことを思いみのりを見つめると、
珍しく彼女が見つめ返してきた。
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