Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
GIG
「涼介……」
「みのりさん……」
名を呼ばれるだけで心が震える。
想いを込めてつぶらなアーモンド色の瞳を見つめ返すと、
みのりの横にいた紅が主の腕をぐいっと引いた。
「お嬢さま」
夢から覚めたかのように目を瞬かせたみのりが、
慌てて紅を見つめる。
「そ、そうね。紅も頑張ってくれてありがとう」
「あ、あれ?」
みのりが紅へ礼を言うのを訊きながら、
なんとなく釈然としない気分で首をかしげた。
これってやっぱりわざとなのだろうか。
碧のためにこんな小さなことでさえ?
理解が及ばず悶々とした思いに囚われていると、
リビングの階段から不愉快な声が飛んできた。
「おやおや、ずいぶんと楽しそうだな」
「俺たちも混ぜてもらおうじゃないか。ねえ、雅秋」
なんでこんなところに来るんだ。
まるで待ってたかのようじゃないか。
驚いて階段のほうへ顔を向けると、案の定長兄の雅秋と高松がいた。
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