Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





IIA




「けど、そのおかげで君の誤解は完璧に解けたよ。

彼は君のお兄さんではなく、美都子様の腹違いのお兄さん

だったんだ」


 満面の笑みで言い切る涼介の姿に、みのりは状況を忘れ

頬が緩みそうになった。だが紅の顔が目の端に入り、表情筋に力を

入れる。無表情を取り繕ったところで、傍と我に返った。


「え? えぇ! 高松さんがお母様のお兄さん!!」


 衝撃の事実に目を見開く。だがすぐさま碧から訂正が入った。


「いえ違いますよ。涼介君。

高松は美都子様のお兄様ではなく、弟君ですよ。弟君」

「あ、そうそう腹違いの弟。だからつまり彼は、みのりさんの

叔父さんってことになる……、のかな?」


 言い間違えを恥じているのだろう。照れくさそうに涼介が頬を

指で引っ掻いている。みのりは眉間に皺を寄せ、彼らの言葉を

頭の中で繰り返した。


「叔父さん? え、つまりお父様の隠し子じゃないってことよね?

よかったぁ」


 順を追って導き出した答えを理解し、安堵する。と同時に腰が

抜けた。衝撃に備えようと目をつむる。

だが、痛みが走ることはなかった。










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