Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
GIH
「市長!」
「雅秋兄!」
みのりと異口同音で叫ぶと、碧がすかさず嫌味を叩き込む。
「市長殿には随分と変わったご友人がいるようですね」
酷薄な笑みを浮かべる碧に対し、答えたのは高松のほうだった。
「知ってるくせに知らない振りかい? あいかわらずいい度胸してるね、
梅田碧君」
「申し訳ありませんが、僕にはなんのことだかわかりかねますね」
高松の追及を碧が躱す。高松がおかしげに肩を竦めた。
「そうかい?
それならもうこれ以上俺たちの邪魔はしないでもらいたいものだがね」
これではまた不毛な言い争いが始まってしまう。
どうやってこの場を収めよう。
黙考していると、キッチンから影が出てきた。
「あー……。とにかく、2人とも座ってください。お茶入れますから」
お盆にお茶を並べ持っていた雅仲が微苦笑で長兄たちへ声をかける。
(雅仲兄って結構度胸あるよな……)
色々と内情を知っているとはいえ、高松まで現れたのに特に
驚いた様子も見せない。
我が兄ながら計り知れない人だな、と涼介は内心で感嘆していた。
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