Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
HI@
「雅仲、私たちにもお茶をもらえるかな?」
「それさっき言いましたよ。用意するって」
雅仲が市長たちを席へ誘導しながらキッチンへ入って行く。
それに伴い涼介も先ほどまで飛田が座っていた席へ移動した。
雅仲の席を確保するための行動だろう。
「ありがとうございます」
みのりの予想通り、高松が礼を言いながらこちらの正面に
座った。市長も彼に続き、揚々と山波の座っていた場所へ腰を
下ろす。そしてこれ見よがしに碧へ視線を送った。
それは、家主が迎え入れているのだから自分たちはここにいる
権利があると言わんばかりの態だった。
「で、何を話していたんですか、みのり様?」
勝ち誇ったような表情を市長に向けられ、みのりは押し黙る。
それを見越していたのか、碧が割って入ってきた。
「おや、そういうスタンスでいくというわけですね」
「負け犬」
どうやら側近兄妹たちは市長たちの追い出し計画を諦めて
いないらしい。多分に毒を含んだ会話をわざとらしく続け始めた。
「紅、彼をそんな言葉でからかってはいけないよ。
彼は遠吠えもできずにいるのだからね」
紅がちらりと市長を見て、碧へ視線を戻し頷く。外堀を埋めて
いくかのようにネチネチと相手を追い込んでいく側近たちの
手腕にみのりは顔を引きつらせた。
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