Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





HIB




「まあ、いいじゃないか」



 みのりが内心で驚いている中、市長が顔をこちらに向け話を

戻してくる。


「それより問題は山波さんだ。あんなに苦しげな表情を

させてしまうことはないと思いますが。どうお思いなのですか、

みのり様?」

「そんなことより、高松さん、あなたがなぜここにいらっしゃる

のですか?」


 みのりは市長の質問にはあえて答えず、正面に座る高松を

見据えた。自分に話が振られるとは思っていなかったのかも

しれない。一瞬きょとんとした顔を見せると高松は肩を竦めた。


「それは多分、あなたと同じ理由ですよ、みのりさん」

「一緒って、どういう意味です?」


 高松との間に席を一つ空けて座っている涼介がすぐさま訊き

返す。高松は顔を涼介へ向けると、子供に言い聞かせるような

口調で答えた。


「山波さんを説得して、この閉ざされた街を解放するためって

ことだよ」


 しかし彼の答えに反応したのは涼介ではなく、高松と組んで

いるはずの市長だった。


「それは、初耳だな」

「……今言ったからね」


 高松が市長へ言い淀みながら返答する。市長の眉間に皺が

さらに深くなったように見えた。


(どういうこと? 2人は同じ考えを抱いているわけじゃない

ってこと?)


 涼介ならば何かを知っているかもしれない。

みのりは、一番遠くに座っている青年へ、どういうことなのかと

瞳だけで問いかけた。










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