Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





HIH




「へえ……」


 雅仲が、空いている席へ座る。

涼介が身を引くように雅仲を仰ぎ見ていた。

座る際に、雅仲の身体が涼介に近づきすぎたのかもしれない。


「な、なんだよ?」

「いや、別に……」

(次男さんの顔は、別にって態度じゃないけど、何かあったのかしら?)


 兄弟にしかわからない何かなのだろうか。

涼介はなぜか俯いてしまった。

髪の隙間から除く耳が微かに赤く色づいているように見える。

みのりは訝しく思ったが、紅が涼介を見ていたので納得した。


(なんだ。紅に見つめられて照れてるのね)


 胸がつきんと痛む。もうすでに分かっていることなのに、

涼介と紅のことを素直に応援できない自分がいる。

これ以上仲の良い二人を見たくない。みのりは下唇を噛み視線を逸らした。

その先で市長がため息を吐き、次男と三男へ顔を向ける。


「変わらんな。涼介のことについても、あれはあくまで試練ですから」


 家庭のことに首を突っ込んでくるな。雅秋が言外に匂わせてくる。

みのりはそれが我慢ならず、間髪入れずに反発した。










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