Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
HIH
「へえ……」
雅仲が、空いている席へ座る。
涼介が身を引くように雅仲を仰ぎ見ていた。
座る際に、雅仲の身体が涼介に近づきすぎたのかもしれない。
「な、なんだよ?」
「いや、別に……」
(次男さんの顔は、別にって態度じゃないけど、何かあったのかしら?)
兄弟にしかわからない何かなのだろうか。
涼介はなぜか俯いてしまった。
髪の隙間から除く耳が微かに赤く色づいているように見える。
みのりは訝しく思ったが、紅が涼介を見ていたので納得した。
(なんだ。紅に見つめられて照れてるのね)
胸がつきんと痛む。もうすでに分かっていることなのに、
涼介と紅のことを素直に応援できない自分がいる。
これ以上仲の良い二人を見たくない。みのりは下唇を噛み視線を逸らした。
その先で市長がため息を吐き、次男と三男へ顔を向ける。
「変わらんな。涼介のことについても、あれはあくまで試練ですから」
家庭のことに首を突っ込んでくるな。雅秋が言外に匂わせてくる。
みのりはそれが我慢ならず、間髪入れずに反発した。
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