Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





CC




「質問されたから答えただけだよ」


 雅秋の不遜な態度に腹が立つ。

渋面を作り押し黙っていると、碧の優しげな声が聞こえてきた。


「いいんだよ涼介君。

どうやら君のお兄さんは違う空間にいるらしいからね。

僕がこの場所にいる時点で会話はすべて聞こえているのに、

聞こえていないと思っているようだよ」


 痛烈な批判を前に涼介は恥じ入るしかない。


「本当に申し訳ないです。兄に変わって謝ります」


 心から詫びていると、みのりが言葉を挟んできた。


「涼介が謝る必要なんてないわ。碧、あなたも市長に対して

子供染みた態度をとるのはやめなさい」


 ぴりゃりと言い放つみのりに目を瞠る。


「みのりさん……」


 やはり優しい娘(こ)だ。

何故もっと早くからみのりの優しさに気づかなかったのだろう。


(そうしたら、もっと違う形で会えたかもしれないのに)


 まあ、それでもみのりが碧以外を見つめてくれるとは思えないが。

それでも仲のいい従兄妹同士にはなれていたかもしれないのに。


(ずいぶん時間を無駄にしたもんだよ)


 吐息していると、碧がみのりに反論する。


「お嬢様、僕がいつそんな態度をとりましたか?

もしお嬢様にはそのように見えたのだとしたら、子供のような市長殿に

引きずられてしまっただけです」


 肩を竦めて答える碧に、雅秋が鋭い視線を送った。










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