Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
CE
(意外だわ。市長ってば、そんなことまで考えていたのね……)
てっきり梅畑の一族を存続させたるためだけに、
梅宮を乗っ取ろうとしているのだと思っていた。
みのりは、小さく息を吐く。
(それにしてもお母様はこういう時のために学園を作ったのかしら?)
表向きは黄金梅の偉大さや、それを守る一族のことを学ばせるためと
謳っている。だが本当の目的は、自治権を維持しながら獣人を支配する
というような考えを持つ人間を増やしたかったのではないだろうか。
(碧と市長は同級生だから、初等科の一期生になるのよね)
それならば市長が凝り構った考えを持つもの納得がいく。
きっとこれを知ったら母は大層喜ぶだろう。
(でもそんなんじゃ、誰も幸せにならないわ。それに雪姫様の本当の
願いは獣人との共存みたいだし……)
かといって、自分たちに市長の考えを変えさせることなど
できるのだろうか。
(やっと1歩進めたと思ったのに……)
さらなる大きな壁に行く手を阻まれる。
みのりが眉間に皺を寄せ黙考していると、
ため息を吐く涼介に同意しながら碧が市長を見据えた。
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