Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





IIC




(私のせいよね……きっと紅は泣かないようにこらえてるんだわ)


 みのりは重苦しい空気を吹き飛ばそうと、割って入ることにした。


「あ、ありがとう紅。その涼介も」


 自然に見えるように笑みを作る。小さく頷く紅に安堵しながら、

みのりは涼介を仰ぎ見た。


「う、うん。怪我がなくてよかった、よ。うん」


 紅の身体を支えに立ち上がろうとすると、涼介が手を差し伸べてくる。


「ええ。ありがとう」


 みのりは、意外とがっしりとしている彼の大きいな手を掴もうと

した。だがその前に、紅の二股に分かれている蹄(ひづめ)が

それを阻んだ。


「お嬢さま、近づく、ダメ」


 紅が潤んだ瞳を吊り上げて見てくる。みのりはハッと我に返った。

そして、涼介へ伸ばしかけていた手を引っ込める。


「え、ええ。ごめんなさい。紅」


 謝罪を込めて、彼女の手を覆うように握り締めた。

紅も落ち着いてきたのだろう。獣化が解け、人間の手へと戻っていく。

するとそこへ、今まで傍観していた碧が割り込んできた。










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