Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
一
IIC
(私のせいよね……きっと紅は泣かないようにこらえてるんだわ)
みのりは重苦しい空気を吹き飛ばそうと、割って入ることにした。
「あ、ありがとう紅。その涼介も」
自然に見えるように笑みを作る。小さく頷く紅に安堵しながら、
みのりは涼介を仰ぎ見た。
「う、うん。怪我がなくてよかった、よ。うん」
紅の身体を支えに立ち上がろうとすると、涼介が手を差し伸べてくる。
「ええ。ありがとう」
みのりは、意外とがっしりとしている彼の大きいな手を掴もうと
した。だがその前に、紅の二股に分かれている蹄(ひづめ)が
それを阻んだ。
「お嬢さま、近づく、ダメ」
紅が潤んだ瞳を吊り上げて見てくる。みのりはハッと我に返った。
そして、涼介へ伸ばしかけていた手を引っ込める。
「え、ええ。ごめんなさい。紅」
謝罪を込めて、彼女の手を覆うように握り締めた。
紅も落ち着いてきたのだろう。獣化が解け、人間の手へと戻っていく。
するとそこへ、今まで傍観していた碧が割り込んできた。
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