Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





CIG




「雅秋兄さん。昨日も言いましたけど、

これ以上みのりさんを無意味に挑発するのはやめてください」


 雅秋を睨みつけると、雅秋が大仰に肩を竦ませる。


「挑発じゃない。私は彼女にわかってほしいんだ。

真にこの街のことを考えるのなら、どうあっても山波さんが

言うことのほうが正しい。そうじゃないか?」


 目を細めて見つめてくる雅秋へ涼介は吐息する。


「俺はそうは思いませんし、山波さんも俺たちの意見に

耳を傾けてくださいましたよ。雅秋兄は違うんですか?」


 尋ねると、雅秋が組んでいた腕を解いた。


「耳を傾けたからと言って納得したわけじゃない。そうだろう?」


 からかいを含んだ瞳を前に、涼介は負けるものか、と雅秋を見返す。


「それは、確かに。

でも彼は俺たちの思いを汲んでくれると信じてます」


 きっぱりと宣言してやると、みのりが姿勢を正した。


「涼介の言う通りです。それに山波さんはあなたとは違います。

私たちの話を聞き流すのではなく、きちんと考えながら

聴いて下さっていました」


 加勢してくれるみのりに内心で感謝する。


(ありがとう)


 心が一気に温かくなる。

想い人が自分の味方でいてくれる。

それだけでもう百人力だ。

絶対に負けない、と拳を握り締めていると、雅秋が盛大に鼻を鳴らした。










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