Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
CIG
「雅秋兄さん。昨日も言いましたけど、
これ以上みのりさんを無意味に挑発するのはやめてください」
雅秋を睨みつけると、雅秋が大仰に肩を竦ませる。
「挑発じゃない。私は彼女にわかってほしいんだ。
真にこの街のことを考えるのなら、どうあっても山波さんが
言うことのほうが正しい。そうじゃないか?」
目を細めて見つめてくる雅秋へ涼介は吐息する。
「俺はそうは思いませんし、山波さんも俺たちの意見に
耳を傾けてくださいましたよ。雅秋兄は違うんですか?」
尋ねると、雅秋が組んでいた腕を解いた。
「耳を傾けたからと言って納得したわけじゃない。そうだろう?」
からかいを含んだ瞳を前に、涼介は負けるものか、と雅秋を見返す。
「それは、確かに。
でも彼は俺たちの思いを汲んでくれると信じてます」
きっぱりと宣言してやると、みのりが姿勢を正した。
「涼介の言う通りです。それに山波さんはあなたとは違います。
私たちの話を聞き流すのではなく、きちんと考えながら
聴いて下さっていました」
加勢してくれるみのりに内心で感謝する。
(ありがとう)
心が一気に温かくなる。
想い人が自分の味方でいてくれる。
それだけでもう百人力だ。
絶対に負けない、と拳を握り締めていると、雅秋が盛大に鼻を鳴らした。
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