Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
一
IID
「こらこら紅。人の恋路を邪魔してはいけませんよ。
君には僕がいるんですからいいじゃないですか」
(碧はまだ気づいていないのね)
最愛の人が別の人と付き合っているとわかったとき、
碧はどうするのだろう。みのりは、ねえ、涼介君、と言いながら
愉しげに涼介の肩をポンと叩く側近の姿に顔をしかめた。
(できるだけ傷つけないように引導を渡してやってね)
そんな意を込めてみのりは涼介へ目線をやる。しかし彼は声を
上擦らせながら、碧と向き合っていた。
「え、な、なんのことですか? いや、でも2人ともお似合いですね!」
(何を言っているのかしら?
誤魔化すにしたってもっと別の言い方があるでしょうに……)
みのりが眉間に皺を寄せ男2人の会話に耳をそば立てていると、
碧が満足げに首を縦に振る。
「涼介君は見る目がありますね。うんうん。
僕と紅はとってもお似合いなんですよ。ねー紅」
「兄さん、うざい」
碧が紅の肩を引き寄せようとする。だが、彼女がそれを許すはずもなく。
あっさりと躱されていた。
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