Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
CIH
「は! 一朝一夕で意見を翻す人じゃない」
あからさまな嘲りの言葉に、涼介は吐息する。
わかっていたが、こんなに狭量な人だったのか。
内心で落胆しつつ涼介は口を開いた。
「どちらが正しいか理解してなかったからですよ。
理解さえしてもらえれば、彼はみのりさんに応えてくれるはずです」
「このお嬢様一人で彼を説得できるわけがない。
山波さんはきっとこの場を収める方便で納得したようにみせただけだ。
少し考えればわかるだろう?」
雅秋の問いかけに涼介は唸る。
山波がそんな方便を使える人間だったなら、
こんなにも物事がこじれることはなかったのではないだろうか。
(あの人は嘘がつけない。だからこそ迷っているんだ)
兄にはそれがわからないのだろうか。
涼介は疲れを感じながら雅秋の問いに答える。
「そんなことはないですよ。
俺はちゃんと山波さんの目を見ていたけれど、
目を逸らしがちだった彼も最後のほうはしっかりと
みのりさんの顔を見つめていましたから」
「そんなはずはない。
お前たちだけであの山波さんを説得? そんなことできるはずがないだろう」
言葉尻に少し焦りが見え、涼介は小さく目を見開いた。
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