Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





CII




 もしや、迷っているのだろうか。

先ほどよりも勢いが若干弱まっている気がする。


「できます。いや、できたと思っています」


 改めて宣言すると、今度は雅秋がテーブルを叩いた。


「馬鹿な! 私が何も指示していないのに、

お前だけでそんな大層なことできるはずが……」


 視線を外し言い淀む雅秋を前に、みのりが口を開く。


「どうしてあなたの指示が必要なんですか?

そんなものがなくても涼介は自分で考えて行動できます!」


 みのりの言葉に碧も首肯する。


「そうですね。現に涼介君はあなたからの電話を受けなかった。

あれはたしか……涼介君と行動をともにした日の夜だったかな?

僕が涼介君と話しているときでしたからよく覚えています」

「みのりさん、碧さん……」


 誰にも見てもらえない人間だと思っていた。

たくさんの人に囲まれていても、ずっと1人だと思ってきた。

だが、今は違う。みのりがいる。碧がいる。


(俺は1人じゃない……)


 雅秋には絶対に負けない。

涼介は決意を込めて首を大きく縦に振った。










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