Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





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「そんな心配はないよ。それより、祖父さんや祖母さんの過度な

期待を抑え込んでいてくれて本当にありがとう」


 涼介が柔らかな笑みを市長へ向ける。

数々の試練と称した虐待を受けてなお、彼は兄からの愛情があったと

信じて疑っていないようだった。


(なぜあんなふうに思えるのかしら?)


 血の繋がりからくる信頼なのだろうか。

彼らに強い絆のようなものを感じ、胸に小さな痛みが走る。


(血なんて関係ないわよね。

だって私はお母様からの愛情を感じたことがないんだから……)


 みのりは、素直に兄からの愛情を信じられる涼介のことが

うらやましく思った。彼のような人間だったら、美都子との仲も

ここまでこじれていなかったかもしれない。


(いいえ、違うわ。私は私だもの)


 嘘偽りのないこのままの自分を美都子に認めて貰わなければ

意味がない


(怖がっていちゃダメよね。

涼介だって市長に立ち向かっているんだもの)


 その結果が今だ。

涼介に対してずいぶんと尊大な態度だった市長が狼狽えている。


「そ、それは……」


 涼介の言葉が妄想ではなく真実なのだろうか。

視線を彷徨わせ声を詰まらせる雅秋へ、涼介が優しく語りかけた。










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