Gold Plum

第六章


対峙


〜みのり＆涼介の場合〜


三


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「俺はもう大丈夫だから。雅秋兄はもっと自分のやりたいように

生きていいんだよ。その結果、やっぱり黄金梅を無くして獣人たちと

共存しようとする俺たちの願いを邪魔したければ、そうすればいい。

けど、俺はもう雅秋兄の言葉で決心を鈍らせたりしない。

雅秋兄に護りたい大切なものがあるように、俺にもどうしても

護りたい、大切なものができたから」


　正面から毅然とした態度で向き合う涼介の姿に、

みのりは小さく息を呑む。


（護りたい大切なもの……きっと紅のことね）


　それほどまでに獣人である彼女のことを想っているのだろう。

みのりは、紅と視線を交わしているであろう涼介を視界から

外すべく俯いた。


（このまま下を向いてたら前に進めないわ。

ちゃんと２人のことを祝福しなくっちゃ）


　意を決し顔をあげる。

だが予想に反し、涼介は紅ではなく市長を見つめていた。


「……考えは変えない……」


　市長が逡巡するかのように返答する。涼介は静かに頷いた。


「ああ」

「それは、山波さんがこちらについても、か？」


　最後の悪あがきと言わんばかりに市長が揺さぶりをかけてくる。

それでも涼介の意思は変わらないようだった。