Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
CIIIE
室内にコール音が木霊する。
みのりは静かに深呼吸を繰り返しながら、テーブルの中央に
置かれたスマートフォンを見つめた。
何回目かの呼び出しのあと、音が止まりしわがれた声が
聞こえてくる。
『はい』
「もしもし、山波さんですか? 梅宮みのりです」
『こんばんは』
山波の声は、心臓が早鐘のように脈打っている自分とは違い、
ずいぶんと落ち着いているように感じた。
決めかねていた答えが彼の中で固まったのだろうか。
みのりは一呼吸置いてから、山波へ声をかける。
「こんばんは。先ほどはありがとうございました。それで……
いかがでしょうか。お考えの方はまとまりましたか?」
『はい。決めました。みのり様、俺はあなたに黄梅の未来を賭けます』
ためらうことなく返された言葉にみのりは瞠目した。
山波なら自分たちの気持ちをわかってくれると信じてはいた。
しかし、開口一番に賛同されるとは思っていなかった。
もしかして己の願望のせいで、聞き間違えてしまったのだろうか。
みのりは眉間に皺を寄せ、山波へ訊き返した。
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