Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





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「邦夫さんというのは、

もしかして三長老のお1人でいらっしゃる方のことですか?」

「そうです。その邦夫さんです」


 山波があっさりと肯定してくる。


(野臥間さんのおかげだったのね)


 これで腑に落ちた。

元々獣人の長老たちとは親しかったようだが、獣人の長老と

話し合ったことで揺れ動いていた山波の気持ちがこちらへと

傾いてくれたのだろう。


(野臥間さん、このお礼はいつか必ずします!)


 みのりは朗らかな笑みを向けてくれた野臥間に対し、感謝の念を

贈った。


「お友達になりまして」


 きっと電話の向こう側では、白髪混じりの黒髪をなでながら

照れくさそうに笑っていることだろう。

容易に想像できる山波の姿に、自然と顔を綻ばせる。


「そうなんですか。それは素晴らしいことですね」

『はい。本当に素晴らしいことです』


 山波の同意に晴れ晴れとした気持ちになっていると、

紅が微笑みながら親指を立てる。


「長老さん、えらい」


 紅の心からの賛辞にみのりは笑みを深めた。

和やかな空気が広がる中、おもむろに碧が入ってくる。


「お嬢様そろそろ」

「え? ああそうね。山波さん長々と申しわけありませんでした。

今回のこと。本当に感謝いたします」


 腕時計を指差す側近の合図に、みのりは山波との話を畳み始めた。










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