Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
CCI@
『はい。それでは、失礼いたします』
山波が再度終了の挨拶をする。
「碧、余計なことを!
山波さん、明日お待ちしておりますね。それでは失礼いたします」
取り繕うように告げるみのりに対し、
山波はどこまでも恭順を示すつもりのようだった。
『はい。ごめんください』
丁寧に別れの挨拶をする山波に、紅が呟く。
「おじさん、バイバイ」
紅の言葉は聞こえていただろうか。
それとも聞こえていてあえて答えなかったのか。
静かに通話が切れる。
と同時に、雅仲がキッチンから出てきた。
「お話は終わりましたか? 食後のお茶入れたのでどうぞ」
タイミングを計っていたのだろう。
まったく食えない次兄だ。
一人微苦笑している向かいで、みのりが柔らかな微笑みを見せた。
「ありがとうございます。
緊張していたせいか、のどが渇いていたので助かります」
緊張感の抜けた笑顔は久しぶりで、いつもより倍にまぶしく移る。
(よし、行こう!)
この想いを伝えよう。
失恋してしまうのだとしたら、
みのりの手で恋心ごと粉々に砕いてしまってほしい。
(でないと、俺は前に進めない)
涼介は深く深呼吸して、次の行動にでるチャンスを窺った。
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