Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
CCIB
腕を揺すられ、驚きつつも紅を見る。普段の彼女とは違い、
どこか切迫した表情だった。しかも、人間の形をしていたはずの
彼女の手が猪の手に変わり始めている。みのりは面を食らった。
とりあえず彼女を落ち着かせなくては。
みのりは紅を安心させるため笑みを浮かべる。
「そうね。他の人たちにも集合場所を連絡しないといけないわね」
獣化した紅の手を優しく包み込むと、落ち着いてきたのだろう。
すぐに手は元に戻った。
(それにしても涼介は何を言いたかったのかしら?)
紅の声にかき消され、まったく話の内容が聞き取れなかった。
みのりはちらりと彼を窺い見る。
「た、確かに連絡は大切だよね。うん。そうだ。
太一君にも集合場所伝えておかないと」
涼介が先ほどとは打って変わり、アハハとはしゃぐように
笑っていた。それがなんとなく空笑いにも見え、みのりは内心で
首をひねる。おもむろに碧が涼介へ頭を下げた。
「よろしくお願いします。
あ、あとよろしければ野木崎さんの方もお願いできます?
僕は小越先生へ連絡をいたしますので」
「はい。すぐに連絡取ります」
碧と涼介がそれぞれスマートフォンを操作し始める。
みのりは彼らを横目に、雅仲へ話しかけた。
一つ前を読む GPの部屋に戻る 次を読む
|