Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





CCIB




 腕を揺すられ、驚きつつも紅を見る。普段の彼女とは違い、

どこか切迫した表情だった。しかも、人間の形をしていたはずの

彼女の手が猪の手に変わり始めている。みのりは面を食らった。

とりあえず彼女を落ち着かせなくては。

 みのりは紅を安心させるため笑みを浮かべる。


「そうね。他の人たちにも集合場所を連絡しないといけないわね」


 獣化した紅の手を優しく包み込むと、落ち着いてきたのだろう。

すぐに手は元に戻った。


(それにしても涼介は何を言いたかったのかしら?)


 紅の声にかき消され、まったく話の内容が聞き取れなかった。

みのりはちらりと彼を窺い見る。


「た、確かに連絡は大切だよね。うん。そうだ。

太一君にも集合場所伝えておかないと」


 涼介が先ほどとは打って変わり、アハハとはしゃぐように

笑っていた。それがなんとなく空笑いにも見え、みのりは内心で

首をひねる。おもむろに碧が涼介へ頭を下げた。


「よろしくお願いします。

あ、あとよろしければ野木崎さんの方もお願いできます?

僕は小越先生へ連絡をいたしますので」

「はい。すぐに連絡取ります」


 碧と涼介がそれぞれスマートフォンを操作し始める。

みのりは彼らを横目に、雅仲へ話しかけた。










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