Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





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「嫌だな。みのり様。冗談ですよ」


 こちらの驚きがよほどおかしかったのだろう。

雅仲が手を揺らし、からからと笑う。みのりは頬を引きつらせた。


(この人、碧といい勝負だわ。さすが市長の弟……)


 疲労感が一気に増したような気がする。

みのりは深くため息をついた。


(涼介はあんな大人にはならないでね)


 スマートフォンを片手で操作している青年を眺めながら心の中で

祈っていると、画面に集中していた涼介がふいに顔をあげた。


「野木崎さんわかったってさ。

太一君起きてるか心配だったけど『すごタロ』やってたから

起きてたって」


「もう連絡がついたの? 早いわね。

やっぱりみんなも気になっていたのかしら?」


 涼介に真剣な表情で見つめられ、心臓が高鳴る。

みのりは気恥ずかしさから何事もなかったように視線を逸らした。


「すごたろ?」


 紅がコテンと小首をかしげる。

彼女の疑問に、涼介は瞳を輝かせながら説明を始めた。


「ゲームだよ。

『すごいぞ!太郎さん』って言って今すごい人気なんだ」

「そんなにすごい人気なのか。そこまでとは知らなかったなあ」


 涼介の話に雅仲が感心するように相槌を打った。


「ずいぶんと変わった名前のゲームね。

雅仲さんもご存じなんですか?」


 大人の雅仲でも知っているほど有名なものなのだろうか。

みのりは腕を組み、頷く涼介の次兄へ顔を向けた。










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