Gold Plum
第六章
対峙
〜みのり&涼介の場合〜
三
CDIB
「よし、と。ここでいいかな……」
ぼんやりとした月明かりに庭の木々が照らされている。
きちんと手入れをされたツツジの赤がやけに明るく思え、
涼介は吐息した。
「急に話したいことがあるなんてどうしたのよ。
あそこじゃできなかったの?」
問いかけてくるみのりの声に、
彼女の手を握ったままだったことに気づく。
できれば手を離したくない。
だが、このままで告白したらマナー違反だと
見なされてしまわないだろうか。
(断られるにしたって、嫌われたくはないしな……)
だが、告白なんて初めてでまったく想像がつかない。
とりあえず手は離しておこう。
そう決めて、みのりの手を解放しつつ、彼女へ向き直る。
「うん。あそこじゃできないんだ。ほら、星もよく見えないし」
口の端に笑みを浮かべてみのりを見ると、
まっすぐな視線が返ってきた。
「星? 星が見えないとダメなの?」
無防備なその表情に、いきなり心拍数が上昇する。
かといって、
今顔を背けたらそれはそれで怪しまれてしまうかもしれない。
だいたい、星も雲で隠れてしまっているし。
「見えたほうがいいかなあって。それにほら、中ちょっと暑かったしさ」
涼介はシャツの胸元をぱたぱたと動かしてみせると、みのりが小首をかしげた。
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