Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





CDIC




「? 暑かったかしら?」


 心底不思議そうに問いかけられ、涼介は焦る。

暑いのは今現在の自分であって、みのりではなかった。


(うわーもうどうしたらいいんだ?)


 順序がまるであべこべだ。

涼介はなんとか体勢を立て直そうと言い訳を続けた。


「あ、暑かったよ。

そ、そうだ。あとでアイスでも買ってこようか?」


 遙か向こうにある門扉のほうを親指で示すと、

みのりがますます怪訝な顔をする。


「アイスが食べたいなら部屋へ戻りましょうよ。

さっきお兄さんが言ってたじゃないマスカットのアイスがあるって。

私もそれを食べたいって思ってたの」


 しまった。

すっかり忘れていた。

以前みのりがファミレスのアイスに感動していたことを思いだし

咄嗟に言ったのだが。

完全に裏目に出てしまったらしい。

涼介は部屋へ戻ろうとするみのりを慌てて押し戻す。


「それはそうなんだけど、アイスって言ったらやっぱりもっと庶民的な

コンビニとかにあるアイスがよりおいしいっていうかさ。うん」


 どうにか興味をこちらへ向けようと彼女にとって

初体験でありそうな場所を適当に薦めてみる。

これで外へ買い物に行くならそれもそれでいいチャンスかもしれない。


(告白するなら、近くの公園とかでも悪くないもんな……)


 内心必死でみのりの身体を押し留めると、みのりの瞳が輝いた。










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