Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





CDIE




「一体なんなの? 別に話があるってこと?」


 腕を組んで胡乱げな視線を向けてくるみのりへ

涼介は言葉を詰まらせる。


「つ、つき……じゃなくて、星、がきれいだなって思ったからさ……」

「さっきからそればっかり言ってるけど星なんてあんまり見えないわよ?」


 まったくその通りだ。

北斗七星さえよく見えないこの状態で星が見たいなどと……。


(俺のバカ!)


 内心で己を罵倒しつつ、涼介は呻く。


「う……。あ、でも風が気持ちいいじゃないか。そうじゃないかい?」


 辺りを見回すと、みのりも周囲を眺めてくれる。


「まぁ、たしかに。風は心地よいわね」

「そうだろう? いい風だよな、本当」


 会話が成立したことが嬉しく相槌を打っていると、

みのりがで、と話を促してきた。


「それはわかったから。それで話したいことってなんなの?」


 真剣な表情で見あげられ、鼓動が高鳴る。

すべての思考が吹っ飛び、涼介はうろたえた。


「え、ええと。

つまり、その。ここじゃないと話せないこと、かな。あははは」


 動悸が激しくなり、言葉が上手く紡げない。

嫌な汗が噴きだしてきて後頭部へ手をやると、

みのりが片足を高く鳴らした。


「だから、その、ここじゃないと話せないことがなんなのか

って聞いてるんじゃない」


 ぐいっと詰め寄られ、限りなくゼロ距離になる。


(近い! 近い!)


 心臓の鼓動が聞こえてしまわないか心配になりながら、

涼介は呼吸を整える。

用意していた言葉がまったく出てこない。


(うー……)


 涼介は頬を膨らませぎみのみのりを見下ろしながら、

そうなんだろうけど、と視線を上向けた。


「その……。それはそれで結構決意っていうか、

勇気っていうか準備っていうか、そういうのが必要な話だからさ……」


 我ながら情けない言動だが、事実なのだから仕方がない。


(こんな状態で、俺ちゃんと告白できるのか?)


 呆れたような視線を送ってくるみのりを目前に、

涼介は酸欠になりそうなほど緊張していた。










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