Gold Plum





第六章


対峙


〜みのり&涼介の場合〜





CDIG




「い、いいのよ。わかってるから」


 まだ涼介の口から紅と付き合っているなんて言葉を聞きたくない。

そんな一心からみのりは彼の言葉を拒絶した。しかし彼はこちらの

気持ちなど一切気づいていない様子で話を続けようとしてくる。


「いいや、わかってない。絶対にわかってない。

俺が話したいのはそのことじゃない」


 この男はこういう男だった。人の顔色はよく見ているくせに、

心の機微には疎い。いくら撥ねつけたって力任せに押し通してくる。

責任感が強いと言えばいいのか、融通が利かないと言えばいいのか。

みのりはなんとか彼にわかってもらおうと、涼介を宥めた。


「だからいいってば。こ、こういうのはほら、個人の自由だし。

そりゃ、私と紅は主従関係にはあるけど……

でもそれとこれとは話が別っていうか」

「だから! そうじゃないって!

俺が話したいのは紅さんとはまったく関係のないことだよ!」


 青年の考えた段取り通りではないから、誤魔化しているのだろうか。

涼介は往生際が悪く、紅のことを認めようとしない。

彼の口から彼女とのことを聞きたくないと思っていたが、

これでは紅が可哀そうだ。

部屋を出る際引き止めてきた彼女のことを思い、みのりは切なくなった。










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